ねむれない。





来たばかりのころを思い出す。


甘い花の匂いが むせるようで、
ほんの少しだけ
寝入るまでに時間がかかった。


しんと静まり返った闇が懐かしくて、
ほんの少しだけ
独りが寂しかった。


夢を、
見るように、なった。
…お前の夢を。




「………そんなん、俺なんかしょっちゅうや」





電話の向こうの声が、

いとおしくて少しだけ泣きたくなった。











「よる」シリーズ 第五弾。
普段の真田隊長って夢も見ずに寝そうだな、と。