いざよいのつき





つきのひかりのなかを
およぐようにあるく。

「酔っ、たー…」

ほぅ、とため息をついて、見上げたら、
まんまるを過ぎて少し欠けた月がいた。

まんまるじゃないのに、
かんぺきにきれいで、
隊長みたいだと
思った。

「たいちょ、元気にしとるかなぁー」

風邪引いとらんかな。
…引くわけないか。
またわけわからんこと言うて、
向こうのヒト、困らせてるやろか。

ほろり と 笑みがこぼれる。

…逢いたいなぁー…

ほろり と 涙がこぼれる。


たいちょうみたいな、おつきさん。



つきのひかりのなかを
およぐようにあるいて いえまで。








ビビエスにてちょこちょこ書き殴ってた、
「よる」シリーズ 第一弾。
箸休めにどうぞ。